6人殺害で無期懲役判決 ― 2019年12月07日
小学生を含む6人を殺害した被告人(外国人)の裁判で,東京高裁は,1審のさいたま地裁がした死刑判決を破棄し,無期懲役の判決を言い渡しました。この高裁判決に対しては,多くの人が非難の声をあげました。テレビに出る弁護士もみんな非難しています。しかし,その非難は要するに,6人の殺人という結果の重大性を考えると1審の裁判員裁判が正しいはずであるとか,1審は裁判員裁判であったのにそれを職業裁判官が覆すのは市民感覚が欠如しておりおかしいといった内容です。ところが,この高裁判決は,被告人を統合失調症の妄想による「心神耗弱者であった」と認定しているのであり,そのことにより死刑を減軽して無期懲役に処したと報じられています。刑法39条2項は,「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。」と規定し(必要的減刑),刑法68条1号は,「死刑を減軽するときは、無期の懲役・・・とする。」と規定していますから,精神障害の状況からして心神耗弱者と認定する以上,被告人は必ず減刑されなければならないのであり,死刑にされることはあり得ないのです。本件は,心神耗弱者であるか否かという事実認定の問題であり,私にはその真否はわかりませんが,具体的理由をあげて心神耗弱者の認定が誤っているという非難ならともかく,「裁判員裁判を重視すべきだ」,「死刑にしなかったのが気に食わない」という感情論では話になりません。
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